住宅の大規模リフォームは高額な費用がかかるため、できるだけコストを抑えたいと考える方も多いでしょう。しかし、リフォームには作業量や職人の数、施工日数が多く関わるため、予算内に収めるのは簡単ではありません。それでも、交渉のテクニックを駆使すれば、値引きや同じ価格での内容のグレードアップが可能になることがあります。
本記事では、リフォーム費用を交渉するための具体的な方法やポイントについて詳しく解説します。事前に知識をもっておくことで、リフォームをより満足のいく形で実現できるようにしましょう。
リフォーム費用の相場
リフォームを計画する際、費用の相場を把握することが重要です。見積もりや値引き交渉の参考にするため、以下に戸建住宅におけるリフォーム費用の一般的な価格帯をご紹介します。リフォームの費用は施工範囲や使用する素材のグレードによって大きく異なるため、価格には幅がありますのでご注意ください。
まず、水まわりのリフォーム費用について見てみましょう。キッチンのリフォームは約100〜150万円、浴室は100〜120万円、トイレは30〜40万円、洗面所は20〜30万円が目安です。
次に、居室のリフォーム費用です。リビングのリフォームは100〜150万円、ダイニングは60〜90万円、寝室は60〜80万円、玄関は40〜50万円となっています。
外まわりのリフォーム費用については、外壁が90〜120万円、屋根が50〜100万円、外構・エクステリアが60〜90万円、駐車場・ガレージが50〜100万円です。
また、リフォームの目的別の費用としては、増改築リフォームや全面リフォーム、二世帯リフォームがそれぞれ1000〜1250万円程度で、既存の中古戸建住宅を購入してリフォームする場合は、これらの価格の半額程度で済むこともあります。バリアフリーリフォームの費用は500〜600万円が一般的です。
追加工事の可能性
リフォームを進める過程で、追加工事や追加料金が発生することは珍しくありません。工事を始めてみると、予期しない不具合が見つかることがよくあります。例えば、木材の腐食や雨漏り、シロアリの被害など、施工前には気付かない問題が発覚することがあるためです。
そのため、リフォームの予算を設定する際には、予備費を含めて柔軟に考えておくことが重要です。実際の予算よりも少し余裕をもたせておくことで、追加工事が必要になった場合にも対応しやすくなります。このような余裕をもつことで、予期せぬ出費にも落ち着いて対処でき、全体のリフォームがスムーズに進行するでしょう。
値引き額の目安
次に、リフォーム費用の値引き額の目安について見ていきましょう。値引き交渉が可能とはいえ、どの程度の割引が期待できるのでしょうか。
一般的に、リフォーム費用の交渉では、施工総額の5%〜10%程度が値引きの目安とされています。これは、業者が全体の20%〜30%を利益として確保するための配慮も含まれています。そのため、値引き額が少なく感じるかもしれませんが、業者にとっても重要なポイントとなります。
また、端数の切り捨てという方法もあります。この方法は比較的受け入れられやすく、業者から提案されることもよくあります。値引き交渉が難航する場合には、端数の切り捨てを交渉のひとつの手段として試してみるのもよいでしょう。
交渉のポイント
次に、値引き交渉を成功させるための具体的なポイントについて解説します。これはリフォームの交渉において特に重要な部分ですので、しっかりと押さえておきましょう。
信頼関係
リフォームは単なる商品購入とは異なり、一度契約した業者や担当者と長期間にわたって関わることになります。そのため、業者との信頼関係を築くことが極めて重要です。
まずは、いきなり値引き交渉に入るのではなく、業者との関係作りから始めましょう。リフォームに至った経緯や個人的な事情、なぜその業者を選んだのかをしっかりと伝えることが効果的です。担当者に「このお客様には値引きをしてあげたい」と思わせることで、スムーズな値引き交渉が可能になります。信頼を築くことが、円滑な交渉の第一歩です。
視点を変える
「値引きをしてほしい」と直接的に要望するのではなく「コストカットを実現するにはどうすればよいか」という視点で交渉を行うのも有効な方法です。
このように視点を変えることで、業者からさまざまな提案やアドバイスを得られる可能性があります。たとえば、コストを抑えるために提案される工法の変更や、今回実施する必要のない工事の指摘などが考えられます。プロの視点でアドバイスを受けることで、費用の使い方に優先順位をつけることができ、プランや予算の見直しに役立つでしょう。
クチコミ
クチコミサイトを利用してリフォーム会社の評判を確認するのも効果的です。依頼予定の業者の評価をチェックしたり、複数の業者を比較して選定する際に役立ちます。また、リフォーム専門の仲介業者を利用するのも一つの手です。
クチコミで確認するポイントとしては、値引き交渉にどの程度応じてくれるか、そしてどのようなリフォームジャンルに強みをもっているかが挙げられます。これらの情報を事前に把握しておくことで、交渉時に適切な調整がしやすくなり、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
内訳を説明してもらう
リフォーム費用の交渉を行う際には、まずリフォーム内容について充分に理解しておくことが重要です。見積もり表の内容をしっかり把握し、疑問点が残らないようにしておきましょう。
業者によっては、見積もりの内訳について詳細に説明してくれないこともあります。そのため、疑問点があれば積極的に質問し、納得できる回答を得ることが必要です。専門的な内容が多いため理解が難しいこともありますが、信頼できる業者であれば、丁寧に説明してくれるはずです。
リフォーム費用の内訳を把握しておくことで、各項目ごとの値引き交渉がしやすくなり、コスト削減のための施工変更を提案してもらいやすくなります。また、リフォームに対して前向きな姿勢を示すことで、業者との信頼関係を築く助けにもなります。
注意点
リフォーム費用の交渉を行う際には、いくつかの注意点があります。依頼者側が陥りがちな悪いケースを2つのポイントに分けて解説します。
まずは、無理な値下げを押し通さないことです。費用削減にばかり焦点を当てて交渉するのは避けましょう。
その理由は、仮に値下げ交渉が成功したとしても、安価な材料が使用されたり、工事が手抜きされる可能性があるからです。また、未熟な職人が施工を担当するリスクもあります。業者も適正な利益を確保しなければ商売が成り立たないため、無理な値下げ要求が行き過ぎると、そのような手段を取らざるを得なくなります。とくに、リフォームにはさまざまな技術が必要であり、経験豊富な職人ほど適正価格で良質な仕事を提供します。無理な値下げが職人の質を下げる結果となっては本末転倒です。
次は、家族間で意見が一致していることです。リフォームの計画については、事前に家族全員で充分に話し合い、共通の認識をもっておくことが重要です。値下げ交渉の際に家族の意見がバラバラだと、業者側が混乱し、交渉の効果が薄れてしまいます。
具体的な対策としては、家族の中で業者との窓口となる人物をひとり決めておくとよいでしょう。これにより、交渉がスムーズに進み、効果的な結果を得やすくなります。
まとめ
リフォーム費用の交渉は、額が大きく複雑に感じるかもしれませんが、適切な対策を講じることで費用削減やコストパフォーマンスの向上が可能です。
交渉の基本は、業者との信頼関係を築くことです。長期間の付き合いになるため、お互いに誠意をもって接することが重要です。
リフォームを検討している方は、まずリフォーム費用の相場や値引きの目安をしっかり把握し、それを基に計画を立てることをおすすめします。