
地震大国日本では、いつ起きるかわからない地震への備えが欠かせません。とくに築年数の古い住宅に住んでいるの人は「自宅は本当に大丈夫?」と不安を感じることもあるのではないでしょうか。そんなとき検討したいのが、耐震リフォームです。本記事では、耐震リフォームをすべきタイミングや、実際に行われる工事の内容について紹介します。
耐震リフォームを考えるべき5つのサイン
まずは、耐震リフォームを考えるべき具体的なサインを5つ紹介します。自宅に当てはまるものがないか、ぜひチェックしてみてください。
シロアリ被害があるとき
シロアリは家の木材を食べてしまうため、柱や土台の強度が落ちてしまいます。大きな地震が来たとき、シロアリに食われた部分が崩れ、倒壊の原因になることも考えられます。そのため、シロアリを発見したら、駆除だけでなく耐震性のチェックも行ってください。そして、必要に応じて補強工事を行い、家全体の強さを回復させましょう。
柱や壁が少ないガレージ付き住宅
1階が車庫になっていて壁や柱が少ない家は、揺れに対して弱くなりやすい構造です。とくに「ピロティ構造」と呼ばれる建物は、1階が崩れてしまう危険性があります。このような家では、壁や柱を増やしたり、揺れに強い補強材を入れたりする耐震リフォームが効果的です。
何度も増築した家はバランスが崩れやすい
家を1度だけでなく、2回以上増築している場合は、建物のバランスが崩れてしまっている可能性があります。重さのかかり方が不均等になると、地震のときに特定の場所に負担がかかり、被害が出やすくなります。複数回増築している家は、耐震診断を受けて補強の必要があるか確認しましょう。
家の土台にヒビが入っている
家の基礎部分にヒビが入っているのは、見逃せないサインです。細かいヒビでも、放っておくとだんだん広がってしまい、家全体の強さが落ちる原因になります。基礎のひび割れは耐震性の低下につながるため、早めに専門家に診てもらい、必要があれば耐震補強を行いましょう。
大きな窓がある家は注意が必要
1階に大きな窓があると、壁の量が少なくなり、家の強度が下がってしまいます。見た目は開放的で良いのですが、安全性とのバランスが大切です。耐震リフォームでは、壁の補強や窓の配置見直しなどで対応が可能です。
わが家は大丈夫?耐震リフォームの必要性
家の耐震性は、実は「いつ建てたか」である程度判断できます。以下では、建てた時期ごとに見た耐震リフォームの必要性について紹介します。
1981年より前に建てられた家はとくに注意
1981年以前に建てられた家は、今のように地震を想定した設計がされていません。そのため、大きな揺れに耐えられず倒壊するリスクが高いとされています。
この年代の住宅にお住まいの方は、まず「耐震診断」を受けて、家の強さをチェックすることが大切です。診断の結果に応じて、柱や壁の補強など、耐震リフォームを検討しましょう。
1981年~2000年に建てられた家も安心はできない
この時期に建てられた家は、ある程度の耐震性が考慮されていますが、それでも基準は現在ほど厳しくありません。震度6強クラスの地震には耐えるよう設計されていますが、安心するにはまだ不十分なこともあります。
壁の量を増やしたり、より強い材料に替えたりといった補強が効果的です。まずは耐震診断を受けて、必要な工事内容を確認しましょう。
2000年以降に建てられた家は基本的に安心
2000年に耐震基準が大きく見直され、それ以降に建てられた住宅は、震度6強の地震でも倒れにくいとされています。ただし、間取りや設計によっては揺れに弱い部分があるケースもあるかもしれません。
たとえば壁の配置バランスが悪かったり、基礎に問題があったりする場合は、補強が必要になることもあります。
耐震リフォームの費用はどれくらい?
以下では、代表的な耐震工事の内容と、それぞれの目安となる費用を紹介します。住まいを地震から守るための参考に、ぜひご覧ください。
壁の中に補強材を入れる工事
柱と柱の間に「ブレース」と呼ばれる斜めの補強材や、専用の金具を取り付けて、壁を強くする工事です。揺れに耐える力を高める効果があります。1か所あたりにかかる費用はおよそ5〜20万円ほどです。部分的に工事できるため、予算に応じて必要な箇所から進めることもできます。比較的手軽に始められる耐震対策です。
壁全体を耐震パネルで補強する工事
壁を一度取りはずし、中に耐震パネルを取り付ける工事です。壁の中までしっかり補強できるため、耐震効果も高くなります。費用の目安は1か所あたり25〜65万円程度です。工事後は防水シートや壁材を貼り直すことで、見た目も元通りになります。やや大がかりですが、そのぶん安心感の高い補強方法です。
屋根を軽くする工事で家全体の負担を減らす
屋根を軽くすることも、効果的な耐震リフォームのひとつです。重い屋根は地震の揺れを大きくしやすいため、軽い屋根材に取り替えることで、建物への負担を減らせます。葺き替え工事の費用は、80〜150万円ほどが目安となります。屋根が重い瓦の場合はとくに効果が大きく、家の倒壊リスクを減らすのに役立ちます。
まとめ
地震から家族や住まいを守るためには、早めの耐震リフォームが大切です。シロアリ被害や古い建築、壁の少なさなど、見逃しがちなポイントもリスクにつながることがあります。まずは自宅の状態をチェックし、必要に応じて耐震診断を受けましょう。リフォームの内容によって費用は異なりますが、命と住まいを守るための大切な投資です。安心して暮らせる毎日のために、できることから始めてみてください。